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2037.12.09 *Wed*

はじめに

こちらはオリジナルBL小説を取り扱うブログサイトです。
BLが好きな方、またご理解のある方のみ閲覧してください。

当ブログサイト内の文章は全てフィクションです。

サイト内の小説の著作権は全て鈴宮小都に属しております。
無断転載、転用、盗用を固く禁じます。

また、当ブログサイトは15歳未満の方の閲覧を禁じます。



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category : はじめに

2037.12.09 *Wed*

目次

【ファンタジー】    


●赤い瞳の王様

1 2 (連載中)

異世界トリップ ?×高校生

自分の身体に違和感を感じていた凛は、
気付けば見知らぬ森で眠っていた。そこで出会ったのは・・・






●藍色の引力

1 2 3 4 5 (連載中)

異世界トリップ 王様×大学生

1人旅の最中、気が付いたら見知らぬ森に迷い込んでいた。
途方に暮れる由宇を迎えに来たのは竜・・・
しかしその竜の背に乗った由宇は、何者かに攻撃をうけ
その身を宙に投げ出されてしまう・・・






●王子様のご帰還です

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17* 18 19 20 21 (完)
話数の後に*がつくものはR18となります。ご注意ください。

異世界トリップ 王子×王子・・・?

目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?






●禁断の魔術

1 2 3 4 5 6 7 (完)

異世界 魔術師見習い×魔術師見習い

リュカは生まれたときから人よりも優れた魔力を持つ。
しかしその所為で他人との交流が苦手でいつも孤独だった。
そんなリュカが好きになってしまったのは自分を嫌う好敵手。
苦しい思いを抱えるリュカは禁忌に惑わされる…

※注意 以前二次創作サイトで書いたものです。
元ネタが何か分かる人には分かってしまいそう・・・ごめんなさい!




【和風ファンタジー】    


●神様と契約を (R18)

1* 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18* 19 (完)
性描写を含むものには話数の後に*がつきます。ご注意ください。

神様×退妖師

退妖師の家系である御園生家には古いしきたりがあった。
退妖の力を持つ者は16歳になったら神と契約をしなければならない。
・・・しかし、その契約の儀式の内容とは、その身を神に捧げる事だった。
異端の一葉と、変わり者の水光の物語。



【現代】    


●不確定恋愛。 (R15)

1 2 3 4 5 6* 7 8 (完)
性描写を含むものには話数の後に*がつきます。ご注意ください。

?×高校一年生 恋愛未満?

高橋幹は最近困っていた。ふと感じる視線、つきまとう気配。
これはストーカー?それとも・・・勘違い?
ひとつ気になるのは、それと同じ頃に出会った、最近よく目が合う先輩。
彼の仕業か、それとも・・・

※痴漢、ストーカー、無理矢理表現があります。苦手な方は読まないで下さい。
 作り物の1つだと思って読める方だけ読んでください。
 その点に関しての読後の苦情は受け付けません。


●確定恋愛中。

1 (完)

不確定恋愛。の後日談。
戻ってきた平穏の中の目下の悩みはこんな所。
不確定恋愛。を読んだ後にご覧ください。






●カボチャは全部食べた。

1 2 3 4 5 6 (連載停滞中)

リーマン×?

仕事に追われる高林一希はある日偶然女性を助ける。
だけどそれだけ、何も変わらない毎日がこれからも続く、
そう思っていたのに・・・




【擬人化】    


●真白い蕾、みつけた ~めぶまゆ馴れ初め編~

1 2 (完)

春野芽吹×冬野真雪(春×冬)

twitterで連載していた作品です。
「寒いのが憎いから名前つけて妄想する事にする」
というおかしな発言から出来上がっていった擬人化もの。
本編を読む前にこちらをどうぞ。


 

category : 目次

2012.10.11 *Thu*

藍色の引力 5

そして、ついにミゼラ国との決戦が目の前に迫ってきていた。





まだこの世界にいきなりやってきてそんなに時間が経ってない。
たった数カ月・・・
それなのにまさか戦地にいるなんて・・・

戦争なんて遥か昔の事で、
例え他の国でどんなに起こっていてもそれは日本には関係ない。
自分にも勿論関係ない。

ずっとそう思っていたのにな。


広い荒野に向かいあうハディマとミゼラの兵士。
しばらく睨みあいが続いたかと思うとヴァルデマルの合図でそれは始まった。

「皆の者!こちらには神子がついている!!
 神子がついている限りこちらは負ける筈がない!!」

そうヴァルデマルが叫んだかと思うと、
ぐっと首を横に向けてヴァルデマルは僕を見た。

「え・・・?」

「さあ、ユウ」

「え?」

そうしてヴァルデマルに手を差し出された。
意味が分からなくてそのままヴァルデマルを見る。

この状況で、こんな状況でどうして僕に手を・・・?

「立ってその姿を皆に見せてやってくれ」

「え・・・どうして・・・」

「あなたがそこにいるという、それだけで兵士の力となる。
 それだけで闘志が漲るのだ。さあユウ」


そうして僕は手をぐっと引っ張られてヴァルデマルの横に立つ事になった。

するとその瞬間

おおおおおおおおお!!


という兵士たちの大きな声に包まれたのだ。


「!?」


その声の大きさに僕は驚き戸惑う。

僕は何もしていない。
ただ、ここにいるだけなのに。

「ほらな、ユウ。見てみろ」

そう言われて兵士たちの顔を見ると、
確かに先ほどまでの重い空気が嘘のようだ。

「あなたがそこに、神子がそこで見守っているというその事実だけで
 兵士たちは力づけられるのだ」





そう言われて、なぜ自分がここにいるだけでいいと言われたのか理解した。

交通安全のお守りとは訳が違う。

お守りとは違う。


そうだ。神子とはよく言ったものだ。

これでは、僕が神様かなにかになってしまったかのようだ。




僕にはそんな力、ないのに。

僕は自分が少し怖くなった。




それと、ヴァルデマルが。


訳のわからない僕に、強引にこういう立場に立たせてしまうヴァルデマルが。

・・・これでは・・・・


これではまるで僕の立場を、



・・・・・利用されてるみたいだ・・・



そんなはずない。

そんなはずない、って言い聞かせた。

僕を守るのに必死になってくれたじゃないか。
ヴァルデマルは優しい。

優しい。


なのにどうしてこんなに不安になってしまうんだろう。



僕は人知れず自分の両腕を抱えて擦った。




それから何時間経っただろうか。

人と人との殺し合いを僕は直視できなくて
離れた所で休ませてもらっていた。

それでもすぐそばで戦いが行われている。
血の匂いはするし人の悲鳴も聞こえる。

完全に僕は自分の力で立っていられなかった。


けれど指示を出す合間にヴァルデマルが様子を見に来てくれて
話をしてくれるから少しは気が紛れた。

どうやら戦局はこちらが優勢のようだ。

もうすぐ日が暮れる。
そうしたらこの戦いも休戦になるらしかった。




「あの陽が沈むと休戦となる」

そう言ってヴァルデマルが指差した先には、
もう半分以上沈んでいる夕陽があった。

今日はもう休める・・・


そう思って気を抜いた時だった。

弓矢が、ヴァルデマルめがけて飛んできたのだ。

「わあ!!」

咄嗟に身を翻してかわしたけれど、
よく見ればヴァルデマルの腕から血が出ていた。

真っ青になる僕にヴァルデマルはふっと笑ってかすり傷だと言う。

でも僕はすぐ近くまで飛んできたという事実に震えた。
死と、隣り合わせという現実に。

ヴァルデマルはすぐにその矢が打たれた方向を見る。

その時、ちっというヴァルデマルの舌うちが聞こえた。
何だろうとヴァルデマルの視線を追うと、
遠いけれど明らかに周りの兵士とは違う雰囲気の人がいた。

「イグナーツか・・・」

イグナーツ?
それが、あの人の名前だろうか。

頭まである鎧の所為で顔まではわからない。
けれど一人だけ、違っていた。
真っ白な馬に跨って弓矢を構えながらこちらを見ているその人。

隣のヴァルデマルはそれに対峙するように腰に構えていた剣を抜いた。

「敵の大将が、こんな所にまでお出ましか」

「え!?」

僕はその言葉にヴァルデマルの方へ振り向いた。

敵の大将って、

・・・つまりこちらでいうヴァルデマルだ。
それって、王、様・・・?

じゃああの人が・・・




どれだけそうしていただろう。


睨みあったまま動かない。

何分、何秒、どれだけだったのか僕にはわからない。
けれど二人の気迫だけは、
とても声をかけられないぐらいだった。



ふと辺りが暗くなったような気がした。
すると、その人は構えていた弓矢をすっと下ろす。

その時僕は、夕陽がやっと沈んだ事を理解した。


これで、一時休戦だ・・・


そう思った時、その人は顔にかかっていた鎧をあげ、
僕の方を向いた。

え・・・

目があった、
その瞬間、急に、心臓を鷲掴みされたような気がした。

ドクンと、大きく鳴った。


顔なんて遠くてわからない。
わかるはずがない。


なのに、どうしてなんだろう。





藍色の瞳から目が離せなかった。



まるで、吸い寄せられるように。








遠くて、目の色なんて分かるはずがないのに・・・

なのにその時の僕にはそれがわからなかった。








ただ、そこに行きたくて、
駆けだしたくて、


その人の顔を見たくて、
声を聞きたくて、

そんな衝動に駆られていた。



どうして

どうして僕はここにいるのだろう



どうしてだろう




その答えを全て、あの人が持っている。

そんな気さえした。



行きたい、

行きたい、

行きたい、




心の中がそれだけに支配されて、
ついに足を一歩踏み出そうとしたその時、


「ユウ?」

ヴァルデマルに名前を呼ばれてはっとした。


・・・僕は、今何をしていたのだろう・・・

何を、考えていたのだろう・・・



ヴァルデマルに促され、僕は休む為に後方へと歩き出す。

もう一度あの人の方を振り返ると、
あの人はもうそこにはいなかった。





・・・BACKTOPNEXT・・・
category : 藍色の引力

2012.10.11 *Thu*

藍色の引力 4

次の日の事だった。

ドアの外が騒がしくて僕は目が覚めた。

朝っぱらからどうしたんだろう。
わーわーという何人もの声とばたばたと走る足音。

常とは違うそんな騒がしい廊下の音に、
僕はいつもより早くに目が覚めてしまった。

どうしたんだろう、と
そっと廊下に続くドアを少しだけ開けて話し声を聞いてみる。
すると

「ミゼラが攻めてきた!」

「兵を集めろ!戦争が始まるぞ!!」

たくさんの人が走り回る中、そんな声が聞こえてきた。

戦争・・・!?

どういう事?
ミゼラって、前にヴァルデマルが言っていた野蛮な隣国だ・・・

そこが、今ここに攻めてきている?


平和な日本に生まれて、戦争なんて知らない僕は
それがどれだけのことかなんて理解できない。

けれど、人々の生活を一変させる・・・
もしかしたらここが戦場になる、可能性があるんだ・・・

そう思うと背筋がぞくりとした。


何をしたらいいか分からず、
何もできない僕はそのままそこで呆然と立ち尽くしていた。

行き交う人たちの騒ぎ声を聞きながら。

すると少ししてから、こちらへ駆けてくるヴァルデマルの姿が目に映る。

「ヴァルデマル・・・」

ドア付近に立ちっぱなしの僕に気が付いて
ヴァルデマルは僕の顔を見ると困った顔になった。

「ユウ、話は聞いたかい?」

「うん・・・少しだけ」

そう言うとヴァルデマルは困ったように笑い、
そして小さな溜め息をついた。

「聞いたかもしれないが、隣国のミゼラがすぐ側まで攻めてきている。
 もしかしたら大きな戦争になるかもしれない。
 ・・・すまない」

そう言うとヴァルデマルは僕に向かって頭をさげた。

「ううん、ヴァルデマルが悪いんじゃないよ、頭をあげて・・・!」

僕は驚いてそう言った。
なにもヴァルデマルは悪い事をしていないのに、
こうして謝られるとは思わなかった。

「ユウ・・・これから私は兵を集めて出陣する事になる」

「え、王様も戦うの?」

僕がそう問いかけると、ヴァルデマルは当然のことのように首を縦に振る。

この世界では、一番偉い人が隊の一番後方にいて、
司令塔となって兵士を動かすのが基本の戦い方のようだ。

司令塔が本部で交信をもって隊を動かす、
そういうやり方はここにはないようだった。

王が隊を束ね、王自ら出る事で隊の士気も上がる。
この世界には電話も通信機もない。
それが普通だった。

「危険、じゃないの?」

「ああ、問題ない。後方で指示をするだけだ。
 時には戦う事もあるが、私は強い。問題ない」

「そう・・・」

それでも、不安だ・・・

そう思っていた時

「すまないが・・・・ユウも一緒に来てくれないか?」

そう、ヴァルデマルに言われた時、
僕は一瞬何の事だかわからなかった。

「え・・・?」

頭の中が真っ白になる。
一緒にって、つまり・・・

「戦場に、一緒に来てほしい」

なにを、言っているのかと思った。

僕は当然のことながら剣を握った事もないし
戦争を経験した事もない。

そんな僕が、戦場にでるだなんて・・・・!?

「ああ、驚かせてしまったね。戦う訳じゃない、大丈夫だ」

「え・・・・」

「私と一緒にいるだけでいいんだ」

ヴァルデマルはそう言うと僕の手をぎゅっと握った。
その手は温かかったけれど、どこか痛かった。

「ユウの事は私が守る。約束する。
 ただ、神子としてそこにいてほしい。
 それだけで、兵たちは安心するんだ」

そう言われると、何も言えなかった。

少しだけ、分かる気がしたから。
僕はつまり交通安全のお守りみたいなものなんだろう。

これから車ででかける。
問題はないけれど、お守りを持っていきたい。
その方が安心する。

つまりはそんな所なんだ。

神子だから。
そこにいるだけでいい、神子だから。


「・・・うん、わかった」

僕がそう言うと、ヴァルデマルは嬉しそうにありがとうと言った。






その後、よくもわからず二つ返事でわかったと言った事をすぐに後悔した。

派手すぎず過度な装飾のない、でも高価な服を着せられ
その服を覆うようなマントをかぶって僕は馬車へと乗せられた。

本当は馬で、と言われたのだけれど
馬になんて乗った事もない僕は皆のように馬の背に跨る事すらできなかった。

ヴァルデマルはそう思って馬車を用意していたと笑ったけれど、
どう見てもこれから戦いに行くのに馬車を連れて、というのは
荷物以外の何物でもなかった。

けれどそれだけで落ち込んではいられなかった。

馬車で揺られて良かったのは最初だけで、
街を抜けたら整備のされてないでこぼこ道で
激しい揺れに酔い、そして尻も痛かった。

ただでさえ邪魔で迷惑をかけているのに
これ以上我儘を言うのはどうかと我慢をしていたけれど
それもいつまで保つだろうか。

せめて、吐かないようにしないと・・・


そう思いながら僕は馬車の椅子に身体を横たえた。

長時間の移動なんて車か電車でしかした事がない。
なんて違いだろう。

世界も文化も何もかもが違う事に改めて思い知らされる。

なんて軟弱なんだろうな現代の日本人は。
そう思って僕は項垂れた。

竜に乗って飛んでしまえば勿論楽だけれど
何万という兵を乗せるほど竜が多い訳じゃない。

貴重な竜に無理をさせる訳にも、
万が一戦いの中で竜に怪我をさせる訳にもいかない。

だからこの世界で竜は戦争からは遠ざけられているらしかった。

あの大きな背中から真っ逆さまに落ちただけに
もう竜には乗りたくない・・・

そうは思うものの、こうして何日も何時間も
馬に揺られて移動するのもつらい。

こういう時はやっぱり恋しくなるなあの背中。

僕はそんな事を考えながら数日を過ごした。







・・・BACKTOPNEXT・・・
category : 藍色の引力

2012.10.11 *Thu*

藍色の引力 3

訳の分からない事が起きて、僕自身も神子だと言われて
まるで偉い人のように扱われて、戸惑ってばかりだけれど
順応性はなんとも高い僕。

そういうものかと、受け入れるとすぐに馴染んだ。

ただ普通にここで生活していけばいい、
何も不自由しないように助力すると言ったヴァルデマル。

その言葉通り僕は本当に何も不安な事はないほど、
逆に申し訳なくなるぐらいの生活をさせてもらっていた。

ただ、神子だという、異世界から来たというそれだけなのに。

僕にはなんの力もない。
何を返してあげる事もできない。

それなのにヴァルデマルはいるだけでいいという。

最初の内は何も思わなかった。
でも1ヶ月、2ヶ月と日が経つにつれ僕は罪悪感を持つようになる。

さすがに何も知らないというのは困るから、
この国の事、この世界の事、ヴァルデマルの周りの事も色々勉強した。
でも毎日毎日覚える事だけ。
確かに学生の本分は勉強、なんてよく聞く言葉だけど
もうすぐ二十歳になる僕と同じ年の人は、勿論働いてる人だっている。

なのに何もしていない僕が、
すれ違う人たちみんなに神子さま、神子さまと頭を下げられる。
みんなが集まる場所では膝をついて挨拶される。

それが何だか申し訳なかった。

僕はただの、1人の人間でしかないって、言いたかった。
でもそれを言ってはいけない気がして、口にする事も出来なかった。

本当にいるだけでみんなの役に立ってる?
何かが変わった?

そんなの僕自身には何も分からなかった。


ヴァルデマルはいつだって優しい。
マメに僕に会いに来てくれて、色んな話をする。
けれどお城の外には絶対に連れてってくれなかった。
それは、僕が他国に狙われる存在だから仕方ないってわかる。
最初の時みたいにいきなり竜に襲われて攫われそうになるなんて、
あんな怖い思いなんてもう2度としたくない。

でも、それでも城の中しか移動できない。
僕の周囲には誰かの目が必ずあって、気が休まる瞬間がない。

それは、とても心地の良いものではなかった。






そんな時の事だった。



ヴァルデマルと一緒に食堂に移動しようと話しながら歩いていた僕は、
ふとよそ見をした瞬間に階段で足を踏み外してしまった。

「うわあっ!」

階段の中程から落ちる、そう思ってぎゅっと目を瞑った。
身体が宙に浮く感覚に血の気が引く気がした。

そのまま受け身を取る事も出来ず落ちて怪我をする、
そう思ったけれど

「ユウ!!」

ヴァルデマルの声が聞こえたと思ったら、
僕は温かい腕の中に包まれていた。

「え?」

そう言葉を発するのとほぼ同時に地についた。
衝撃と同時に。

「うぅ・・・」

痛い。そう思ったけれど、固い床に落ちてはいなかった。
そう、ヴァルデマルが僕をかばって下敷きになっていたのだ。

「ヴァルデマル!?」

「大丈夫か、ユウ」

少し顔を歪めながら目の前でヴァルデマルが僕に聞いた。

・・・ヴァルデマルに怪我をさせてしまったかもしれない・・・

間抜けで不甲斐ない僕自身が情けなくてうっすらと涙が滲む。
けれどヴァルデマルは僕の頬に触れて

「ユウに怪我がなくてよかった」

とそう言ったのだ。

痛いのはヴァルデマルなのに、
心配しなきゃいけないのは僕の方なのに、

そのヴァルデマルの優しさに僕は胸がじんとした。

そして立ち上がろうとすると、
ヴァルデマルが顔を歪めた。
そのヴァルデマルの視線を追うと、足を見つめていた。

「足、足痛めたの?」

「いや、大丈夫だ」

「ごめん、ごめんねヴァルデマル」

「謝らなくていい、私はユウを守れてよかった」

ヴァルデマルはそうして僕に笑う。
その笑顔に僕はまた涙が滲み出てきた。

「大丈夫だと言うのに、ユウは泣き虫だな」

「だって・・・!」

王様に怪我をさせてしまったなんて、
どうしよう、どうしようと僕は戸惑っておろおろしてばかりなのに
そんな僕を見てヴァルデマルはまた笑う。

そして、

そしてヴァルデマルは何かを言いたそうに僕を見たと思ったら、
ゆっくりと近づいて、

気が付いたらその唇は僕の唇に重なっていた・・・


はっと気付いてヴァルデマルと離れると、
一気に僕の顔は真っ赤になった。

「ヴァ、ヴァルデマル・・・?なにを・・・」

恥ずかしくて僕はヴァルデマルの顔を見れない。
顔を背けて距離を取ろうとすると、逆にヴァルデマルに引き寄せられ
その腕の中にぎゅっと抱きしめられた。

「え・・・!?」

驚いて、でもその腕を振り払う事もできずにそのままでいると、
耳元でヴァルデマルが囁いた。

「可愛いな、ユウ・・・私はユウが好きだ」

「え・・・」

心臓が、ドキッと鳴った気がした。

そんな事言われた事ない。

男同士だって分かってるのに、
男同士なんて有り得ないって思ってたのに、

なのに驚きと、恥ずかしさで
心臓はずっと鳴っている。

「あ、あの・・・」

「ユウと恋人同士になりたい・・・ダメか?」

顔の近くでヴァルデマルにそう言われて、
真っ白になった頭がどんどん空っぽになっていく。

冷静に考える事なんて今はできなかった。

「ユウ・・・」

「ご、ごめん・・・ちょっと時間がほしい・・・。
 まだ、ちょっと混乱してわからないから・・・」

赤い顔でそう言うとヴァルデマルはくすりと笑って、
その後僕を腕の中から解放してくれた。

「良い返事を期待しているよ」

そう言ってヴァルデマルは僕の髪にキスをした。



それからしばらくは足を捻ったヴァルデマルを支えて一緒に歩いたり
怪我の様子を見たりして、何だか前よりもヴァルデマルといる時間が
増えたような気がする。

いつでも優しく僕を見つめるヴァルデマルを見て、
先延ばしにしていたその返事に、
いい加減答えを出さなきゃ・・・

ヴァルデマルとなら・・・いいかもしれない・・・

そんな風に思っていた。

優しい優しい王様。
男同士っていうのがすごく気になるけれど、
この世界では別に変なことじゃないらしくて、
そう聞くとそうなんだ、じゃあいいのかな、なんて気にもなって。

何かが違う、本当にいいのかな、って
そんな風に思う僕の心と、

ヴァルデマルなら・・・そう思う心の狭間で

僕は明日にでもヴァルデマルと話をしようと、
そう思って眠りについた。








・・・BACKTOPNEXT・・・
category : 藍色の引力

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